相続税における土地評価は、相続税法22条によって、「土地の課税時期における時価による」とされています。この課税発生時というのは、相続発生時のことです。
「土地の時価」とは、一般的には不動産鑑定評価額のことを指します。しかし、相続税の土地評価でこの不動産鑑定評価を採用することは、簡便性・画一性の面からそぐわないとされているのです。
時価評価より簡便で公平な、路線価による評価額
土地評価を不動産鑑定評価額で行う場合、評価に要する時間や費用がかかります。ですから、納税者や税務署がすべての土地評価をするのは、現実的ではありません。
そのために国家資格を持つ不動産鑑定士がいるわけですが、不動産鑑定士に依頼するとしても、その不動産鑑定評価額には多くの判断基準が介在します。不動産鑑定士によってその額に乖離が生じることもしばしばあり、課税の公平性の観点からも不適当なのです。
そこで国税庁は、様々な個性を持った土地を誰でも簡単に評価できるように、独自の評価手法である財産評価基本通達を設けました。そして、この通達に従い、適正に評価がなされていれば「時価とみなす」ということにしたのです。
それが路線価による評価手法、いわゆる「路線価評価」です。
ところが、この路線価評価には、思わぬ弱点があるのです。次回は、この評価の弱点について、お話しします。
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フジ総合鑑定 住江 悠
株式会社フジ総合鑑定 大阪事務所 事務所長。不動産鑑定士。24年間で3,600件以上の相続税申告・減額・還付業務の実績を誇る、相続・不動産コンサルティング事務所で、公平な立場から不動産の評価を行う、相続・不動産のプロフェッショナル。