相続税還付に関連する不動産の評価について、山林の事例をご紹介しています。
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Aさんは2年程前にお父様を亡くし、神戸市内の宅地や山林等、多数の不動産を相続しました。そのうちの1つである山林が、「市街地区域」に区分されていました。
ところが現地調査をしたところ、評価額減額の可能性が見えてきたのです。
対象土地は傾斜地だったため、210万円の減額に!
下の写真は現地調査で撮影したものです。
写真ではわかりにくいのですが、傾斜地であることが確認できます。しかも道路側の斜面には擁壁とフェンスが設けられており、その傾斜は急であることが推測されました。
傾斜地の場合、その傾斜度が高ければ高いほど控除できる造成費の金額が大きくなります。さらに、急傾斜地等の場合には経済合理性の観点から、宅地への転用が明らかに見込めないため、近隣の「純山林」に準じた評価とされます。
つまり、評価額が大幅に下がる可能性があるのです。さっそく役所調査を行いました。
調査の結果、対象土地の傾斜度は30度超であることがわかり、物理的・経済合理性の観点から宅地への転用が見込めない「市街地山林」として「純山林」に準じて評価し直しました。
すると評価額は当初の試算より約210万円も下がり、9万円ほどになりました。
Aさんが相続した土地をさらに調べてみると、対象の土地以外にも傾斜地であるにもかかわらず、平たん地の造成費を控除していた山林が3ヵ所ありました。そこで、それらも見直したところ総額で1,000万円も減額になり、納税額では130万円の還付が認められました。
ところが、調査を進めていくとあることが判明しました。実は、この土地は「市街地山林」ではなかったのです。
次回は、その詳細についてご説明します。
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株式会社フジ総合鑑定 大阪事務所 事務所長。不動産鑑定士。24年間で3,600件以上の相続税申告・減額・還付業務の実績を誇る、相続・不動産コンサルティング事務所で、公平な立場から不動産の評価を行う、相続・不動産のプロフェッショナル。